特集
食道癌のリンパ節転移程度別にみた転移パターンの特徴と重要郭清領域
西巻 正, 鈴木 力, 神田 達夫, 林 達彦, 小杉 伸一, 渡辺 直純, 小向 慎太郎, 畠山 勝義
新潟大学医学部第1外科
食道癌根治切除における重要郭清領域を特定する目的で3領域郭清後のリンパ節転移個数が1~4個であった86症例の食道癌切除例を対象に原発部位別にリンパ節転移パターンを検討した.Iu原発癌(n=5)では全例で頸部No. 101リンパ節に転移が生じていた.EiEa原発癌(n=31)では頸部,縦隔,腹部リンパ節転移の頻度はおのおの6.5%,64.5%,58.1%であった.EiEa原発癌の縦隔転移は85%の例で転移先は下縦隔リンパ節であった.また転移個数が1個のみであった12例では頸部転移は1例もなく92%が下縦隔あるいは胃周囲リンパ節転移例であった.一方,Im原発癌(n=50)では頸部,縦隔,腹部リンパ節転移はおのおの24%,66%,54%に生じていた.したがって,Iu原発癌ではNo. 101リンパ節,EiEa原発癌では下縦隔と胃周囲リンパ節が重要郭清リンパ節であるがIm原発癌に対しては頸胸腹部3領域リンパ節の郭清が根治切除に重要である.
索引用語
potentially curable esophageal cancer, anatomic characteristics of lymph node metastasis, extent of radical lymphadenectomy
日消外会誌 32: 2443-2447, 1999
別刷請求先
西巻 正 〒951-8510 新潟市旭町通1-757 新潟大学医学部第1外科
受理年月日
1999年7月28日
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