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第32巻 第10号 1999年10月 [目次] [全文 ( PDF 31KB)]
特集

胸部食道癌の至適リンパ節郭清―胸部下部食道癌手術には頸部郭清は不必要か?―

植田 守, 松原 敏樹, 秋森 豊一, 安部 哲也, 高橋 孝

癌研究会附属病院外科

 癌の口側がEi以下で,m3以深の胸部食道癌で頸胸腹郭清を行った31例を検討し,胸部下部(Ei)癌の手術では頸部郭清は不必要か否かを検討した.
 頸部転移は6例(19%)で認め,その中で4例(13%)は頸部単独領域転移であった.転移部位は頸部操作で郭清し得る頸胸境界部の反回神経リンパ節に多かった.m3~sm1,4例中1例(25%),sm2~sm3,7例中1例(14%),mp~a2,19例中2例(11%)が頸部単独領域転移であり,表在癌でも頸部単独転移はまれではなかった.手術操作による反回神経麻痺は4例(13%)にあり,いずれも6か月以内に症状は改善した.頸部再発は1例あり,初回手術時に郭清を省略した下内深頸リンパ節に再発した.頸部単独転移例の予後は良好であった.
 頸胸境界部の確実な郭清には頸部操作が必要であり,Ei以下の表在癌においても頸部郭清が望ましい.

索引用語
esophagectomy for carcinoma of lower thoracic esophagus, lymph node dissection through cervicotomy

日消外会誌 32: 2453-2456, 1999

別刷請求先
植田 守 〒170-8455 東京都豊島区上池袋1-37-1 癌研究会附属病院外科

受理年月日
1999年7月28日

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