特集
微小転移からみた胸部食道癌の頸部郭清および腹部傍大動脈周囲郭清の適応
嶋田 裕, 佐藤 史顕, 渡辺 剛, 山崎 誠二, 加藤 雅之, 加納 正人, 加賀野井 純一, 今村 正之
京都大学医学研究科腫瘍外科
食道癌における頸部リンパ節(LN)郭清および腹部傍大動脈LN郭清の適応についてCytokeratinの免疫染色(AE1/AE3)とSCCmRNAのRT-PCRによる微小転移の観点から検討した.pN(-)48例の1,145個のLNにおいて18個のLNに微小転移が陽性でpN(+)61例2,832個のLNにおいては75個のLNに微小転移が陽性であった.その結果,11例が新たにLN転移陽性となった.微小転移検出感度は通常病理検査で6.5%,免疫染色で8.6%,RT-PCRでは10.6%が陽性で,RT-PCRでの検出感度が最も良好であった.以上の微小転移を含めた胸部食道癌LN転移の検討で頸部LN転移12例で50%(6例),頸部LN再発4例で50%(2例)に106LN転移が認められた.一方,腹部傍大動脈LN再発10例全例で1,2,3.または7にLN転移が認められた.以上より,106LN転移を認めた症例は頸部郭清が必要で,下部食道癌においてLN1,2,3,7に転移を認める症例は腹部傍大動脈周囲郭清の適応である.
索引用語
esophageal cancer, micrometastasis, lymph node dissection
日消外会誌 32: 2463-2468, 1999
別刷請求先
嶋田 裕 〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町54 京都大学医学研究科腫瘍外科学
受理年月日
1999年7月28日
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