特集
食道癌の進行度に応じた至適リンパ節郭清
葉梨 智子, 吉田 操
都立駒込病院外科
自験例の治療成績から,胸部食道癌の進行度に応じた至適リンパ節郭清を検討した.m3,sm1癌34例(67%に合併療法施行)で内視鏡的粘膜切除術を行い,外科切除と同等の治療成績を得,縮小治療の可能性が示された.sm2~s2癌100例の3領域郭清群において,郭清効果が最も高いのは転移個数3個以下の症例で,4~9個・脈管侵襲高度例では遠隔臓器再発は減少しなかった.前者では,徹底郭清による根治を目差し,後者では,集学的治療の一つとして,QOLを重視し,重点郭清を行うことが必要である.頸部転移例でも同様であった.Lt下部1/2の症例で頸部上縦隔リンパ節に明らかな転移を認めない症例に左開胸開腹術式による根治術を施行した.表在癌8例の5生率は83%,進行癌21例の5生率は66%でリンパ節再発はなく,表在癌では根治術として,進行癌では集学的治療の一つとして意義があると考えられる.
索引用語
optimal dissection, 3-field dissection, esophageal cancer
日消外会誌 32: 2474-2478, 1999
別刷請求先
葉梨 智子 〒113-8677 東京都文京区本駒3-18-22 都立駒込病院外科
受理年月日
1999年7月28日
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