特集
胸部食道癌に対する3領域リンパ節郭清の適応とその限界についての検討
有馬 美和子, 小出 義雄, 岡住 慎一, 島田 英昭, 松原 久裕, 宮澤 幸正, 舟波 裕, 落合 武徳
千葉大学医学部第2外科
胸部食道癌に対する3領域リンパ節郭清(3-Field)の適応と限界について検討した.対象はEMRを含む446例で,Ut 61,Mt 268,Lt 117である.深達度pEP,LPMはリンパ節転移,再発ともなくEMRまたはBluntの適応と考えられた.pMM~SMのUtの腹部,Ltの頸部リンパ節転移と再発は極めて稀であり郭清を省略できると考えられた.Adj,根治度C,3領域リンパ節転移,転移個数5個以上の症例を予後不良群(F群),それ以外をA群としたところ,F群は90%以上の再発率で3年無再発生存例は3-Fieldで2例,2-Fieldにはなかった.A群では3-Field,2-Fieldとも再発率は約30%,3年無再発生存率は40~50%であった.3-Fieldが2-Fieldに比べて有意な予後の向上がみられたのは,A群のpMP~AdとUt,MtのpSM~Adであった.3-Field単独ではF群に3年無再発生存例はなかったが,後療法追加例で予後の延長がみられ,F群には放射線化学療法を積極的に加える必要があると考えられた.
索引用語
esophageal carcinoma, 3-field lymph node dissection
日消外会誌 32: 2484-2488, 1999
別刷請求先
有馬 美和子 〒260-8677 千葉市中央区亥鼻1-8-1 千葉大学医学部第2外科
受理年月日
1999年7月28日
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