経気管・気管支超音波検査による食道癌気管浸潤診断の検討

西村　良彦, 大杉　治司, 井上　清俊, 高田　信康, 船井　隆伸, 加藤　俊彦, 李　栄柱, 田口　伸一, 藤田　みゆき, 木下　博明

大阪市立大学第2外科学教室

　進行食道癌の気道への浸潤の診断における経気管支超音波検査（transtracheobronchial ultrasonography：以下，TBUS）の有用性について検討した．検査には周波数20MHzの細径超音波探触子UM-3R（オリンパス社製）と気管支鏡ST30（同社製）を使用した．剖検標本の超音波像と病理組織像を対比し，気管の5層構造を確認した後，CTで気管・気管支への癌浸潤が疑われた食道癌19例を対象に検査を施行した．気管・気管支壁は5層に描出され最外層の高エコー層が外膜層に一致した．低エコー層として描出される食道病変により気管・気管支最外層に断裂がみられた場合を浸潤ありとした．浸潤ありと判定した13例中9例に手術を行い全例に気道への浸潤が認められた．一方，浸潤なしとした6例全例に手術を行い，浸潤のないことが確認された．検査時呼吸循環動態に著明な変化はなかった．TBUSはCTより正確に層構造描出可能なため，食道癌の術前気道浸潤診断に有用と思われた．

索引用語
transtracheobronchial ultrasonography, esophageal cancer, bronchial invasion, preoperative evaluation

別刷請求先
西村　良彦　〒545-8561　大阪市阿倍野区旭町1-5-7　大阪市立大学第2外科

受理年月日
1999年6月22日

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