原著
常温肝虚血―再灌流時の電気特性による肝viabilityの経時的評価法の検討
伊藤 英夫, 廣瀬 一, 佐々木 栄作, 石川 真, 片桐 義文, 松友 寛和, 林 昌俊, 千賀 省始,林 勝知, 鬼束 惇義
岐阜大学第1外科
肝切除時に用いられる肝門部血行遮断により肝虚血が生じる.そこで,電気インピーダンス(EI)を用いたラット虚血肝のviability評価法を検討した.肝虚血の前・中・後に経時的にE1,胆汁流量,肝ATP(HPLC法)を測定した.虚血時間15(n=2),30(n=2),60(n=6),120(n=4)分の4群とした.1KHzにおける抵抗率(ρ,単位Ω・cm)は,虚血後上昇し,平均35.0±5.9分で最高値(ρm)に達し,その後は減少した.肝ATPとρの虚血前値との比(%ATP,%ρ)は虚血後20分,ρmに達した時の両者には有意な負の相関を認めた.胆汁流量の再灌流後の回復率は各群98.2±6.2,90.6±0.5,23.9±15.6,7.0±4.2%であった.再灌流直前値ρrとρmの比(ρr/ρm)と胆汁流量の回復率は15,30,60分の各群では有意な正の相関があった.組織学的には虚血30分では変化はないが,60分では構造破壊がみられた.以上の結果より,EIは虚血肝のviabilityを経時的に示す指標となる可能性が示唆された.
索引用語
liver, viability, electrical impedance, normothermic ischemia, bile flow
日消外会誌 32: 2512-2518, 1999
別刷請求先
伊藤 英夫 〒500-8705 岐阜市司町40 岐阜大学医学部第1外科
受理年月日
1999年6月22日
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