大型肝細胞癌に対する外科治療とその成績―無再発生存率向上因子の解析から―

首藤　太一, 広橋　一裕, 久保　正二, 田中　宏, 塚本　忠司, 山本　隆嗣^＊, 池辺　孝, 大場　一輝, 上西　崇弘, 木下　博明

大阪市立大学第2外科, 第2病理^＊

　1997年3月末までの17年間の肝細胞癌（肝癌）切除504例中，在院死，絶対的非治癒切除を除いた主病巣径＞5cmの大型肝癌83例を対象に，30項目の臨床病理学的因子別に無再発生存率を算出し，単変量・多変量解析を行った．
　単変量解析で無再発生存率に有意差をもって関与した因子は肝葉以上切除（MjR, 49例），単発病巣（41例），門脈内腫瘍栓（vp）陰性（75例），肝内転移巣（im）陰性（36例），肝切離面癌浸潤（tw）陰性（36例），治癒切除（25例）の6因子であった．多変量解析ではim陰性のみが独立因子として検出された．一方，MjRの49例中16例（33％）は術前に経皮経肝門脈枝塞栓術（PTPE）を併施していた．
　im陽性大型肝癌の無再発生存率は不良であるが，良好な成績を得るためにはtwを確保したMjRによる治癒切除が必要であり，手術適応拡大のためにPTPEが有効である．

索引用語
large hepatocellular carcinoma, major hepatic resection, tumor-free survival, percutaneous transhepatic portal empolization

別刷請求先
首藤　太一　〒545-8585　大阪市阿倍野区旭町　1-4-3　大阪市立大学第2外科

受理年月日
1999年5月25日

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