DNA multiploidyを示す大腸癌における左側大腸優位性と癌の家族歴について

澤井　照光, 辻　孝, 七島　篤志, 地引　政晃, 山口　広之, 安武　亨, 中越　享, 綾部　公懿, 田川　泰^＊

長崎大学医学部第1外科, 同医療技術短期大学部^＊

　DNA multiploidyを示す大腸癌の特徴を明らかにする目的で，1990年から1996年までの間に当科において切除された大腸癌430例のうちflow cytometryによって核DNA量が測定された245例について検討した．症例を核DNA量によって，Dd群：DNA diploidyを示した78例（31.8％），Dm群：DNA multiploidyを示した36例（14.7％），およびDa群：DNA multiploidyを除くDNA aneuploidy 131例（53.5％）の3群に分類した．Dm群の特徴は，（1）Dd群と比較して左側結腸癌が多く，（2）Da群と比較して転移を伴わない症例が多く，（3）第1度近親者に癌の家族歴が有する症例が多いことの3点であった．無作為に抽出したDd群：26例，Dm群：14例，Da群：31例についてはさらにp17H8を用いたfluorescesce in situ hybridizationを行った．その結果，Dm群における第17番染色体数的異常はDd群と同程度であり，Da群と比較して低率であった．

索引用語
DNA multiploidy of colorectal cancer, Chromosomal instability of colorectal cancer, numerical aberration of chromosome 17 of colorectal cancer, family history of extracolonic malignancy

別刷請求先
澤井　照光　〒852-8501　長崎市坂本1-7-1　長崎大学第1外科

受理年月日
1999年6月22日

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