原著
肉眼形態からみた大腸mp癌の臨床病理学的特徴
渡辺 一三, 豊田 昌夫, 原 均, 奥田 準二, 天上 俊之, 田中 慶太朗, 山本 哲久, 川崎 浩資, 谷川 允彦
大阪医科大学一般・消化器外科
大腸mp癌を肉眼形態別に腫瘤型と潰瘍型に分類し,臨床病理学的特徴を調べ,両者間に相違があるか否かを検討することを目的とした. 切除大腸mp癌91例を対象とし,これらを肉眼形態別に腫瘤型20例,潰瘍型71例と分け,検討した. 潰瘍型は腫瘤型と比較して高分化腺癌以外,とくに中分化腺癌が高率に認められ,潰瘍型のmp2,3には粘液癌,低分化腺癌が認められた.腫瘤型は第1群リンパ節転移のみに留まっているが,潰瘍型はmp浸潤度がかりに浅くても第2群以遠のリンパ節に転移の認められる症例があった.他病死を除く術後累積生存率では,潰瘍型mp癌は腫瘤型よりも低率の傾向があった(p=0.08). 以上のことから,進行大腸癌mp癌のうち,潰瘍型は腫瘤型に比較して,より悪性の形質を示しており,高度浸潤癌に準じた慎重な取り扱いが必要であると思われた.
索引用語
colorectal muscularis propria carcinoma, macroscopic morphological type
日消外会誌 32: 2532-2537, 1999
別刷請求先
渡辺 一三 〒569-8686 高槻市大学町2-7 大阪医科大学一般消化器外科
受理年月日
1999年6月22日
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