症例報告
慢性膵炎に伴う膵嚢胞が総胆管に穿破した1例
敷島 裕之1)2), 金子 行宏1), 本原 敏司1), 塚田 守雄1), 加藤 紘之2)
斗南病院外科1), 北海道大学第2外科2)
慢性膵炎に伴う膵仮性嚢胞が総胆管に穿破した症例を経験した.症例は60歳の男性,平成8年12月慢性膵炎の急性増悪,膵嚢胞の診断にて当院入院となった.腹部CT,超音波検査では膵頭部に嚢胞を認め,内部は均一で嚢胞壁は平滑であった.ERCPで主膵管と嚢胞に交通を認め,さらに,嚢胞は総胆管に穿破していることを確認した.臨床経過,画像診断などより慢性膵炎に伴う膵仮性嚢胞と診断したが,総胆管に穿破していることより悪性の膵嚢胞性疾患も完全に否定できず,D2郭清を伴う全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除を施行した.術後病理組織診にて慢性膵炎,膵仮性嚢胞の総胆管穿破との最終診断を得た.膵嚢胞性疾患の診断と治療にあたっては慢性膵炎に伴う多彩な合併症を念頭に置くことが重要であると考えられた.
索引用語
Chronic pancreatitis, pancreatic pseudocyst, psuedocyst with rupture into the common bile duct
日消外会誌 32: 2582-2585, 1999
別刷請求先
敷島 裕之 〒060-0001 札幌市中央区北1条西6丁目 斗南病院外科
受理年月日
1999年6月22日
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