症例報告
急性腹症にて発症した肺癌小腸転移4例
飯塚 敏郎, 堤 謙二, 木ノ下 義宏, 上野 正紀, 中村 豊英, 宇田川 晴司, 澤田 寿仁, 渡辺 五朗
虎の門病院消化器外科
1987年から1998年9月までの原発性肺癌877例のうち,小腸転移にて手術を施行した4例を経験した.肺癌の組織型は腺癌2例,小細胞癌1例,大細胞癌1例で,肺癌診断時遠隔転移が認められたのは3例,認めなかったのは1例であった.腹部症状は3例が腹痛,1例が下血を呈し,肺癌の診断から腹部症状の出現までの期間は平均7.3か月であった.診断としては腸重積が2例,穿孔1例,腸閉塞1例であった.全例空腸部分切除術を施行した.術後の生存期間は遠隔転移を認めた3例で平均21日,認めなかった1例は7.5か月生存した. 肺癌小腸転移手術例はまれであるが,近年増加傾向にある.腹部症状出現時すでに進行した状態で予後は極めて不良であるが,姑息的手術を行うことで一時的にも症状の改善が得られ,全身状態が許されれば,手術を考慮すべきと思われる.
索引用語
lung cancer, small-bowel metastasis, partial jejunectomy
日消外会誌 32: 2586-2590, 1999
別刷請求先
飯塚 敏郎 〒105-8470 東京都港区虎ノ門2-2-2 虎の門病院消化器外科
受理年月日
1999年5月25日
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