症例報告
腹壁再発を来した直腸癌の2症例
荒木 邦夫, 橋本 創, 中場 寛行, 砂田 祥司, 赤松 大樹, 伊藤 章, 寺本 成一, 山根 哲実*
国立呉病院外科, 同 病理*
直腸癌術後の腹壁再発はまれである.今回,腹壁再発を来した2症例を経験したので報告する.症例1は72歳の男性.直腸癌(Rs)の診断でハルトマン手術を施行した.組織型は中分化型腺癌se,n1,ly3,v1,P0,H0,M(-)で病期はstage IIIaであった.1年8か月後,孤立性の肺転移とともに腹部正中瘢痕創の左側腹壁に再発を来し,肺切除と共に腹壁再発部を切除した.症例2は53歳の男性.直腸癌(Rb)の診断にて直腸切断術を施行した.組織型は中分化型腺癌,a1,n1,ly2,v0,P0,H0,M(-)で病期はstage IIIaであった.4年6か月後,腹部正中瘢痕創の左側腹壁に再発を来し,膀胱壁を一部含め腫瘍を切除した.再発の原因としては両症例とも手術創への癌のimplantationが疑われた.両症例とも術後約1年半経過し再発を認めていない.
索引用語
rectal cancer, recurrence to operative wound scar
日消外会誌 32: 2611-2614, 1999
別刷請求先
荒木 邦夫 〒737-0023 呉市青山町3-1 国立呉病院外科
受理年月日
1999年5月25日
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