胃切除後の十二指腸断端縫合不全に対する経皮経肝的十二指腸ドレナージの有用性

前田　大, 藤崎　真人, 高橋　孝行, 平畑　忍, 和田　徳昭, 千葉　洋平, 佐藤　美信, 中田　博, 中村　威, 岡本　規博

足利赤十字病院外科

　胃切除時のRoux-en-Y再建後やBillroth II法再建後の十二指腸断端の縫合不全は難治性で，しばしば治療に難渋する．保存的治療や再手術による十二指腸のドレナージなどが行われるが，いずれの方法も治癒に時間がかかり，時に重症感染症や腹腔内出血などを合併して死亡することもある．今回我々は，4例の十二指腸断端縫合不全症例に対してpercutaneous transhepatic biliary drainage（PTBD）の技術を応用してカテーテルを十二指腸内に留置し，胆管および十二指腸内容のドレナージを行い，保存的に治癒せしめることに成功した．本法は再手術を施行せずに十二指腸内容のドレナージが行えるため，低侵襲で効果的である．またoctreotide acetate（Sandostatin^R）を併用し，胆汁，膵液の分泌を抑制することによって治療効果の一層の向上が期待できる．

索引用語
leakage of the duodenal stump after gastrectomy, percutaneous transhepatic biliary drainage,
Sandostatin^R

別刷請求先
前田　大　〒326-0808　足利市本城3-2100　足利赤十字病院外科

受理年月日
1999年6月22日

PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です