症例報告
十二指腸潰瘍穿孔に対する胃切除B-II再建後の胃空腸横行結腸瘻の1例
打出 啓二, 柏崎 正樹*, 間狩 洋一, 土居 貞幸, 田中 伸生, 直井 正紀, 丸山 博英, 藤本 高義**
市立川西病院外科, 大阪大学第2外科*, 県立西宮病院外科**
胃切除後の吻合部潰瘍による胃空腸横行結腸瘻は比較的まれで,吻合部潰瘍の重篤な合併症の1つであり,本邦では1931年から1998年まで71例の報告しかない.十二指腸潰瘍穿孔に対して,幽門側胃切除術(結腸後B-II法)後,13年を経過して診断された胃空腸横行結腸瘻を経験したので報告する. 症例は37歳の男性.慢性下痢,るいそう,臀部痛を主訴に入院.13年前,十二指腸潰瘍穿孔に対して,幽門側胃切除術(結腸後B-II法)の既往がある.注腸X線検査,小腸二重造影検査などの結果,胃空腸吻合部と横行結腸の間に内瘻を認めた.残胃亜全摘,横行結腸部分切除術,全幹迷切術,胃空腸Roux-en Y吻合術を行った.術後,慢性の下痢は改善し,3か月で体重が18kg増加した.十二指腸潰瘍に対する胃切除後の持続する下痢に対しては,本症の存在を念頭におき,早急な診断,治療が必要である.
索引用語
gastrojejunocolic fistula, stomal ulcer
日消外会誌 32: 2659-2663, 1999
別刷請求先
打出 啓二 〒666-0195 川西市東畦野5-21-1 市立川西病院外科
受理年月日
1999年7月28日
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