症例報告
十二指腸静脈瘤に結紮術および術中硬化療法が有用であった1例
牧野 洋知, 国崎 主税, 舛井 秀宣, 渡会 伸治, 嶋田 紘
横浜市立大学医学部第2外科
症例は65歳の男性で,肝硬変の診断で他院にて加療中,下血を認め,Hb 4.9g/dlの貧血を呈し精査目的で入院となった.上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行脚に静脈瘤を認めた.低緊張性十二指腸造影検査では,同部位に境界明瞭,表面平滑な陰影欠損として描出された.経皮経肝門脈造影で,後下膵十二指腸静脈が主たる流入路,精巣静脈が流出路で下大静脈とのシャントを認めたため,後下膵十二指腸静脈に対し経皮経肝門脈塞栓術を施行した.いったん軽快退院となったが,術後約2か月後に下血・貧血が再度認められたため,再入院となった.精巣静脈造影検査で,十二指腸静脈瘤が残存していたため,開腹下に静脈瘤を結紮切除後,残存した静脈瘤内にエタノールアミンオレイトを注入し,術中硬化療法を施行した.術後2年経過した現在再発なく経過良好である. 十二指腸静脈瘤に結紮術および術中硬化療法は安全かつ確実で有用な治療法であった.
索引用語
duodenal varices, gastrointestinal bleeding, portal hypertention
日消外会誌 32: 2664-2668, 1999
別刷請求先
牧野 洋知 〒245-8575 横浜市戸塚区原宿町252 国立横浜病院外科
受理年月日
1999年7月28日
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