症例報告
幽門輪温存膵頭十二指腸切除後胆管炎の再建変更が奏功した1例
中居 卓也, 白石 治, 川辺 高史, 船井 貞往, 香山 仁志, 康 謙三, 安富 正幸
近畿大学第1外科
症例は56歳の女性.発熱と腹痛を主訴に来院した.前医で,下部胆管癌に幽門輪温存膵頭十二指腸切除術が今永式(I型再建法)で再建され,術後繰り返す胆管炎と肝膿瘍に膿瘍ドレナージが行われていた.血清ALPなどの胆道酵素や上部消化管造影検査では異常を認めず,99mTc-PMT胆道シンチグラフィーからも胆管空腸の吻合部狭窄や胆汁うっ滞所見はなかった.食事摂取で発熱などの胆管炎症状が現れ,抗生剤動注療法も奏効しなかった.胆管炎の原因が食物の胆道内への逆流と考えられ再開腹後,再建法をI型からII型に変更した.術後,6か月経過した現在,胆管炎の再燃は認めない.
索引用語
pylorus-preserving pancreatoduodenectomy, postoperative cholangitis, reconstruction
日消外会誌 32: 2674-2678, 1999
別刷請求先
中居 卓也 〒589-8511 大阪狭山市大野東377-2 近畿大学第1外科
受理年月日
1999年7月28日
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