原著
死因からみた早期胃癌の予後と周術期輸血との関係
藤谷 恒明, 山並 秀章, 三国 潤一, 角川 陽一郎, 神山 泰彦, 小野 日出麿, 菅原 暢, 大内 清昭
宮城県立がんセンター外科
早期胃癌術後における予後と周術期輸血との関係を胃癌死と他病死に分け検討した.対象は1967年から1986年の20年間に早期胃癌で胃切除術を受けた776例である.術後10年経過時点での転帰は,生存653例,他病死91例,胃癌死29例,死因不明3例であった.他病死例の死因は脳血管疾患20例,異時性重複癌17例,心疾患13例,事故8例,肝疾患5例,呼吸器疾患4例,手術関連死2例であった.周術期輸血の頻度は高齢(70歳以上),術前低血色素値例,深達度sm,胃全摘例,化学療法施行例,前期(1967~76年)手術例が有意に多かった.多変量解析を行うと,胃癌死ではリンパ節転移陽性と男性が,他病死では高齢者,男性,前期手術,胃全摘術,周術期輸血例が独立した予後因子であった.周術期輸血と早期胃癌術後の他病死との関連が示されたため,早期胃癌により手術を受けた症例の長期生存には周術期の不要な輸血を避けることも重要であると思われた.
索引用語
early gastric cancer, prognostic factor, multivariate analysis, causes of death, perioperative blood transfusion
別刷請求先
藤谷 恒明 〒981-1293 名取市愛島塩手字野田山47-1 宮城県立がんセンター外科
受理年月日
1999年9月22日
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