原著
Gelatin Resorcinol Formaldehyde(GRF)glueの肝切離面局所応用のための基礎的検討
鈴木 正徳, 内山 哲之, 及川 昌也, 竹村 真一, 松野 正紀
東北大学医学部第1外科
生体接着剤Gelatin‐Resorcinol‐Formaldehyde(GRF)glueの肝切離面への応用について実験的検討を行った.GRF glueの抗張力試験ではフィブリン糊の約7倍の接着力を示した.SD系雄性ラットを用いた肝部分切除術のモデル実験から切離局所に撒布したGRF glueの吸収過程を組織学的に検討すると,線維性組織に被覆されたglueの内部に貪食細胞が出現して吸収過程は進行し,第28病日には厚い線維層に置換された.GRF glue塊の腹腔内投与実験で示された体重あたりのglue重量ごとの生存率は2.5mg/g body wtで100%の生存率を示すが,10mgを越えると第5病日以前に全例死亡した.以上の検討からGRF glueの肝切離面への有用性と吸収過程を明らかにすることができた.ホルマリン自体や再吸収過程で生じる物質による組織障害も懸念されるため,用法・用量を遵守した使用法が副作用防止には重要と考えられた.
索引用語
GRF glue, tissue adhesives, liver surgery
別刷請求先
鈴木 正徳 〒980-8574 仙台市青葉区星陵町1-1 東北大学医学部第1外科
受理年月日
1999年9月22日
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