原著
腹腔鏡下胆嚢摘出術における胆管損傷例の検討
志摩 泰生, 森 雅信, *高倉 範尚, 大石 正博, 木村 臣一, 青木 秀樹, 八木 孝仁, 漆原 直人, 磯崎 博司, 田中 紀章
岡山大学第1外科,尾道市民病院*
岡山大学第1外科および関連13施設で経験した腹腔鏡下胆嚢摘出術4,301例における胆道損傷37例(0.86%)を検討した.損傷部位は,総胆管・総胆管33例,肝床部2例,後区域枝1例,尾状葉枝1例であった.施設経験例数では100例目以前に18例(49%)が生じており,術者経験例数では20例目までの発生が22例(59%)にみられ,手技の未熟さも発生要因の1つであった.高度炎症例では,解剖の誤認を避けるためにも,術前画像断診で炎症の程度を想定しておくことや,腹腔鏡下手術にこだわらず開腹術へ移行することも重要である.電気メス損傷を避けるためにも,胆嚢寄りでの操作を心がけ,胆管の近くでは電気メスの使用をできる限り避けることが大切である.さらに,術中損傷発見のため,術中胆道造影を行うことも重要である.
索引用語
bile duct injury during laparoscopic cholecystectomy, treatment, cholelithiasis
別刷請求先
志摩 泰生 〒700-8558 岡山市鹿田町2-5-1 岡山大学医学部第1外科
受理年月日
1999年9月22日
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