肝門部胆管癌の術後肝不全に関わる術前胆管炎の検討

楊　宏慶, 高尾　尊身, 新地　洋之, 内倉　敬一郎, 久保　昌亮, 今村　博, 末永　豊邦^＊, 愛甲　孝

鹿児島大学第1外科, 南風病院外科^＊

　肝門部胆管癌に対する根治的切除の際，閉塞性黄疸肝に対して肝切除を併施することが多く，術後の合併症，特に肝不全は早期予後を規定する重要な合併症である．術後肝不全の発症要因の検討に加え，近年最重要されている術前胆管炎に関しての検討と考察を行った．対象は1987年から1998年までの肝切除を併施した肝門部胆管癌28例とした．術後肝不全の発症要因は，肝切除量の過大（p=0.01）と術前胆管炎（p<0.001）であり，さらに，術後感染症の増悪や遷延がその増悪因子となっていた．また，術前胆管炎併存症例に在院死が多かった（p=0.01）．

　術前胆管炎を管理することは肝不全を含めた術後合併症の対策としての意義があり，減黄目的のみでなく，胆管炎の管理を念頭に置いた経皮経肝胆管ドレナージ（PTBD）が行われるべきである．

索引用語
Hilar cholangiocarcinoma (cholangiocarcinoma of the confluence of major hepatic ducts), postoperative hepatic failure, preoperative cholangitis

別刷請求先
楊　宏慶　〒890-8520　鹿児島市桜ケ丘8-35-1　鹿児島大学医学部第1外科

受理年月日
1999年9月22日

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