原著
大腸mp癌に対する治療法についての検討
村瀬 尚哉, 岡部 聡, 桑原 博, 宇田川 勝, 大司 俊郎, 新井 健広, 丸山 祥司, 山下 博典, 岩井 武尚
東京医科歯科大学第1外科
大腸mp癌治療法選択の指標を明らかにすべくmp癌手術症例58例を対象に浸潤度細分類(mp1~3),sm癌との比較,占居部位,原癌死症例,リンパ節転移症例の検討を行い以下の結果を得た.(1)mp1で腫瘤型が多くmp2,3で限局潰瘍型が多かった.(2)sm癌と比較するとmp癌はリンパ管侵襲が高度であったが,sm高度浸潤例とmp1の比較では差を認めなかった.(3)結腸に比べ直腸で限局潰瘍型が多く,静脈侵襲も高度で,5年生存率も不良であった.(4)原癌死7症例はmp2,mp3の直腸癌で,非原癌死例に比べ腫瘍径が有意に大きかった.(5)直腸mp癌のリンパ節転移を34例中7例に認めた.転移例は全例Ra以下で,mp2の1例に側方転移を認めた.以上より,mp1はsm癌に準じたD2郭清を基本とした手術,mp2,mp3は適宜D3郭清を追加し,特にRa以下のmp2,mp3はss(a1)以深の進行癌と同様の対処が必要であると考えられた.
索引用語
colorectal carcinoma invading the muscularis propria, subclassification of mp cancer, lymph node metastasis, lateral lymph node dissection, autonomic nerve preserving operation
別刷請求先
村瀬 尚哉 〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学第1外科
受理年月日
1999年9月22日
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