症例報告
総腸間膜症に小腸癌を併存した再発性腸閉塞症の1例
田村 昌也, 木元 文彦, 清崎 克美, 若狭 林一郎*
氷見市民病院外科, 同 胃腸科*
症例は66歳の男性.イレウス症状を繰り返していたが,腹部膨満感が増悪し入院となった.上部消化管造影および血管造影X線検査から総腸間膜症などの腸回転異常症の存在が示唆され,腹部CT,注腸造影X線検査からは小腸腫瘍などの付加病変の存在が示唆された.入院18日目に緊急開腹術を施行した.回腸の一部拡張部分が結腸の脾彎曲部に癒着しこの部を中心に約360度時計方向に回転し,捻転部のほぼ中心に小腸腫瘤を認めた.上行結腸,回盲部は腹膜後腔に固定されずいわゆる上行結腸間膜様の外観を呈していた.回盲部より約50cmに回腸腫瘍を認め,回腸癌が最も強く疑われたため,脾彎曲部の癒着を剥離した後,結腸右半切除術およびD2リンパ節郭清を行った.切除標本は5×4cm大のType 2,se,ly1,v0,n(+)の高分化型腺癌であった.総腸間膜症の合併が,癌自体による症状を修復し特異な臨床経過を呈したものと思われた.
索引用語
mesenterium, commune, intestinal obstruction, cancer of the ileum
別刷請求先
田村 昌也 〒920-8641 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第1外科
受理年月日
1999年9月22日
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