卒後教育セミナー
潰瘍性大腸炎の手術術式と治療計画
山村 武平, 荘司 康嗣, 楠 正人
兵庫医科大学第2外科
潰瘍性大腸炎(UC)の外科的治療には根治性と同時に機能性が求められ,永久的回腸人工肛門,回腸肛門吻合術,回腸肛門管吻合術(回腸直腸吻合術)などの手術術式における改良と進歩があり,今日に至っている.私どもは3期分割手術計画を基本としたJ型回腸嚢肛門吻合術(IAA)を行ってきたが,IAAでは体位変換を要し,手術時間が長く,手術侵襲も大きくなっていた.1997年以降,超音波駆動メス(Harmonic Scalpel)とバイポーラーシザーズ(Power Star)を導入,術式の改良を行った結果,IAAは簡便で出血量の少ない,安全な手術となった.さらにはUCに対する外科的治療のstrategyをも改善し,緊急手術であっても2期分割手術で行うことが可能となっている.ただし穿孔例や,Crohn病と鑑別のつかない症例は3期分割手術とせざるを得ず,患者のニーズに答えるためには,より的確な診断と手術時期の選択が重要であると考える.
索引用語
ulcerative colitis, graduated mucosal proctectomy, ultrasonically activated scalpal
別刷請求先
山村 武平 〒663-8501 西宮市武庫川町1-1 兵庫医科大学第2外科
受理年月日
1999年10月26日
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