直腸癌に対する機能温存―自律神経温存術

大木　繁男, 池　秀之, 杉田　昭, 山口　茂樹, 市川　靖史, 嶋田　紘

横浜市立大学第2外科

　われわれは自律神経温存術を排尿機能と男性性機能（勃起と射精）の維持を目的とする自律神経全温存術と排尿機能のみの維持を目的とする骨盤神経叢部分温存術の2つの分けている．これらの術式について図示し述べた．全温存術で射精機能が維持されるためには腰部交感神経が温存されなければならない．腰部交感神経は下腸間膜動脈IMA根部に接しているものと離れているものがありIMAを切断する前にtapingして温存する必要がある．部分温存術ではS2，S3，S4から出現する骨盤内臓神経をあらかじめtapingし癌の下縁の高さまで神経を切除して直腸周囲組織を切除しリンパ節を郭清する．このような方法で自律神経温存術を行ったところ局所再発率は1.9％（2/104）であった．術後射精機能は91％（70歳以下男性，全温存例）に維持された．

索引用語
rectal cancer, autonomic nerve preserving operation, postoperative ejaculation

別刷請求先
大木　繁男　〒232-0024　横浜市南区浦舟町3-46　横浜市立大学浦舟病院中央手術部

受理年月日
1999年10月26日

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