症例報告
食道メラノーシスと粘膜内転移を伴う食道原発悪性黒色腫の術後長期生存例
砂山 健一, 高木 正和, 小林 恵子, 小里 俊幸, 大場 範行, 中上 和彦, 伊関 丈治, 遠山 和成, 室 博之*
静岡県立総合病院外科, 同 病理部*
症例は64歳の男性.幼児期に全内臓逆位を指摘されていた.主訴は嚥下時の閉塞感.上部消化管内視鏡検査にて切歯列より30cmに内腔の1/3を占居する腫瘍を認め,腫瘍の肛門側には複数の黒色斑を認めた.生検にて悪性黒色腫と診断された.左開胸開腹により胸部食道切除術を行った.組織学的にjunctional activityを認め原発性悪性黒色腫と診断した.食道癌に準じた進行度はM0 Pl0 sm1 n(-)と診断した.腫瘍肛門側の黒色斑はintramural metastasisと診断した.肉眼的に正常な食道壁にatypical melanotic hyperplasiaが広範囲に認められた.術後補助療法は行わなかった.術後 2 年無再発生存中である.本症例を加え長期無再発を期待できる因子に関して文献的考察を加え報告する.
索引用語
malignant melanoma of esophagus, melanosis, atypical melanotic hyperplasia
別刷請求先
砂山 健一 〒431-3192 浜松市半田町3600 浜松医科大学第2外科
受理年月日
1999年10月22日
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