症例報告
血清および腹水中のCA19-9が高値を呈した結核性腹膜炎の1例
照屋 淳, 出口 宝, 竹島 義隆, 仲地 厚, 武藤 良弘*
宜野湾記念病院外科, 琉球大学医学部外科学第1講座*
症例は43歳の男性で,腹痛と発熱を主訴に当院を受診した.理学所見では腹部は著明に膨満し,腸雑音は消失していた.腹部全体に圧痛と腹膜刺激所見を認めた.腹部単純X線検査,腹部CT検査,超音波検査を施行し,確定診断が得られなかったが急性腹症で緊急手術を行った.手術所見で結核性腹膜炎と診断したが,癌性腹膜炎も否定出来ないため,腹水,血液,腹膜,大網および白色結節を採取し,病理検査と腫瘍マーカー測定を行った.その結果,腹水中のCA125,CA19-9が極めて高値であった.結核性腹膜炎でADA,CA125が高値を示した症例報告は多いが,腹水,血清中のCA19-9が高値を示した報告は著者らが検索した限りではみられなかった.患者は抗結核化学療法で腹膜炎所見は軽快し,CA19-9値は正常域となった.抗結核化学療法によるCA19-9値の変化を観察しえた,興味ある症例と考え報告する.
索引用語
tuberculous peritonitis, CA125, CA19-9
別刷請求先
照屋 淳 〒901-2211 宜野湾市宜野湾3-3-13 宜野湾記念病院外科
受理年月日
1999年9月22日
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