進行胃癌（Stage II，III）におけるu-PA familyおよび血管内皮細胞増殖因子の発現に関する免疫組織学的検討

森　健一郎, 天野　定雄, 福澤　正洋

日本大学第1外科

　癌の浸潤，転移機構の中でプロテアーゼ，血管内皮増殖因子は重要な役割を果たしていることが示唆されている．今回我々は進行胃癌におけるu-PA familyの意義を検討するために，治癒切除されたSatge II，IIIの胃癌50例においてu-PA，PAI-1，u-PARとVEGFの免疫組織学的発現，腫瘍血管密度，および臨床病理学的因子について検討した．u-PAの発現は48％，PAI-1の発現は58％，u-PARの発現は56％にみられ，VEGFの発現は64％に陽性であった．u-PAの発現群，血管密度の高密度群では，u-PAの非発現群，血管密度の低密度群に比較して有意に累積生存率が不良であった．Coxの比例ハザードモデルを用いた多変量解析ではu-PAの発現の有無がstageに次いで生存率に対して最も強い影響を与える独立した予後因子であった．u-PAは進行胃癌の新しい悪性度の指標になりうることが示唆された．

索引用語
urokinase-type plasminogen activator, plasminogen activator inhibitor-1, urokinase-type plasminogen activator receptor, vascular endothelial growth factor, gastric carcinoma

別刷請求先
森　健一郎　〒173-8610　東京都板橋区大谷口上町30-1　日本大学医学部第1外科

受理年月日
1999年11月30日

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