原著
肝細胞癌術後骨転移症例の臨床的検討
竹國 恭司, 佐々木 洋, 今岡 真義, 山田 晃正, 大東 弘明, 亀山 雅男, 平塚 正弘, 甲 利幸, 石川 治, 古河 洋
大阪府立成人病センター外科
1989年から1997年の間に当センターで追跡しえた肝細胞癌術後骨転移症例11例の臨床経過と治療成績について検討した.肝細胞癌の骨転移はその晩期に生じることが多く,死因は肝再発死が72%を占め,肝内病巣の制御が予後に影響していた.初回単発骨転移例は7例中5例が骨転移後1年以上生存しておりそれらの予後は比較的良好であった.治療は対症療法が中心であったが,胸骨,肋骨転移例の中で肝内病巣のコントロールが良好であった3例に切除を施行した.切除例3例は最終的にはいずれも骨転移巣は多発病巣となったが,他の症例に比べ骨転移診断後長期生存し,長期の除痛効果がえられた.骨転移に対する切除術は,肝内病巣の制御が良好で,比較的低侵襲で容易に切除しうる部位の単発例に対しては,有効な治療法と考えられた.
索引用語
hepatocellar carcinoma with bone metastasis, resection of bone metastasis
別刷請求先
竹國 恭司 〒537-8511 大阪市東成区中道1-3-3 大阪府立成人病センター
受理年月日
1999年11月30日
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