症例報告
大量の血性腹水と卵巣莢膜細胞腫を伴った胃外発育型の巨大gastrointestinal stromal tumorの1例
板橋 幸弘1)2), 鈴木 伸作1), 佐藤 新一1), 浅野 真彦1), 佐々木 睦男2)
公立米内沢総合病院外科1),弘前大学第2外科2)
症例は82歳の女性.胃集団検診にて胃病変を指摘され,精査のため当院内科受診.腹部CTにて胃壁に連続して約11×8cmの充実性腫瘤を認め,胃外発育型の巨大胃粘膜下腫瘍および胆のう結石症の診断にて当科紹介された.開腹時,700ml以上の血性腹水を認め,腫瘤は胃噴門部前壁小彎側より壁外性に発育し周囲臓器との癒着はなかった.また,鶏卵大で黄白色の硬い右卵巣腫瘍も認め,胃全摘術,胆嚢摘出術,右付属器切除術を施行した.胃腫瘍は,免疫組織学的検査では筋原性および神経原性マーカーが陰性でCD34およびvimentin染色のみ陽性を示し,gastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断した.リンパ節転移は認めなかった.卵巣腫瘍は鍍銀染色およびズダンIII染色にて莢膜細胞腫と診断した.腹水は細胞診にて悪性所見なく,卵巣腫瘍由来と考えた.現在,術後 3 年を経過し,再発徴候は認めず,引き続き経過観察中である.
索引用語
gastrointestinal stromal tumor, thecoma of the ovary, bloody ascites
別刷請求先
板橋 幸弘 〒036-8562 弘前市在府町5 弘前大学第2外科
受理年月日
1999年11月30日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|