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第33巻 第3号 2000年3月 [目次] [全文 ( PDF 108KB)]
症例報告

Krukenberg腫瘍で発見された胃粘膜内癌の1例

橋本 直樹1)2), 野田頭 達也, 藤田 正弘, 高屋 誠章, 熊谷 達夫2), 田中 正則3), 佐々木 睦男1)

弘前大学第2外科1), 公立野辺地病院外科2), 弘前大学第2病理3)

 症例は35歳の女性で,下腹部腫瘤を主訴とし近医を受診,卵巣腫瘍の診断で当院産婦人科にて両側付属器切除術が施行された.組織診にて印環細胞癌と診断されたため,当院内科にて胃内視鏡検査を施行し,胃体中部大彎にIIc病変が認められた.生検にて印環細胞癌と診断され,当科にて胃全摘術 3 群郭清を施行,再建はρ吻合,Roux‐Y法で行った.病理組織学的検討では深達度m,リンパ節転移n2(+),脈管侵襲はly(-),v(-)であった.術後,化学療法を施行し,現在外来にて経過観察中である.
 一般にKrukenberg腫瘍は播種性転移として取り扱われているが,本症例では肉眼的および腹水細胞診での腹膜播種は認められなかった.検索した限りでは胃粘膜内癌によるKrukenberg腫瘍の報告は6例のみで,本症例はまれであると考え報告した.

索引用語
Krukenberg's tumor, signet ring cell carcinoma, intra-mucosal gastric cancer

日消外会誌 33: 323-327, 2000

別刷請求先
橋本 直樹 〒036-8562 弘前市在府町5 弘前大学医学部第2外科

受理年月日
1999年11月30日

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