特発性門脈圧亢進症を伴い高度に形質細胞へ分化を示した胃MALTリンパ腫の1例

野口　洋文, 堀見　忠司, 稲垣　優, 小高　雅人

高知県立中央病院外科

　特発性門脈圧亢進症を伴い，高度に形質細胞へ分化を示した胃MALTリンパ腫の1例を経験したので報告する．患者は67歳の女性．食欲不振，全身倦怠感を主訴に当院に来院した．上部消化管内視鏡検査にて胃に多発性の潰瘍を認めた．肉眼所見では，表層型の胃悪性リンパ腫に類似の形態であった．腹部CTおよび，血管造影では，脾腫と側副血行路の増生を認めた．胃悪性リンパ腫，特発性門脈圧亢進症の診断にて，1998年5月29日，胃全摘術，リンパ節郭清（D2+α），脾摘および肝生検を行った．病理組織診断は高度に形質細胞へ分化したMALTリンパ腫で免疫組織学的にIgM‐λが単クローン性に増殖していた．肝は異常所見はなく，特発性門脈圧亢進症と診断した．
　特発性門脈圧亢進症を伴い，高度に形質細胞への分化を示した胃MALTリンパ腫の報告例はなく，非常に興味深い症例であると考えられた．

索引用語
gastric lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissue, plasmacytoma of the stomach, idiopathic portal hypertension

別刷請求先
野口　洋文　〒700-8558　岡山市鹿田町2-5-1　岡山大学医学部第1外科

受理年月日
1999年11月30日

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