症例報告
腹腔鏡下胆嚢摘出術用のクリップを核として形成された総胆管結石
小浜 和貴, 中村 吉昭, 橋田 裕毅, 高林 有道
田附興風会医学研究所北野病院外科
胆嚢摘出術に際して胆嚢管の断端に用いた腹腔鏡下手術用の金属クリップが総胆管内に嵌入し,それが核となって総胆管結石を形成した症例を経験したので報告する.症例は53歳の女性.他院で胆嚢結石の診断で受けた腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下,Lap. Cと略す)後約1か月より,反復する発熱・腹痛を訴え当院を受診した.内視鏡的逆行性胆道造影(以下,ERCと略す)では,上部総胆管に狭窄を認めたが臨床的に胆汁うっ滞の徴候なく,経過観察とした.初回ERCより5か月目のERCにて総胆管の強度の狭窄と管内の結石像を認めたため,初回手術より11か月後に総胆管切除および肝管十二指腸吻合術を行った.結石は,Lap. Cで胆嚢管閉鎖に用いるクリップを核とするビ系石であった.金属クリップが総胆管に迷入し結石を形成した報告は,現在まで20例を数え,まれではあるがLap. Cに際し注意すべき合併症と考えられる.
索引用語
laparoscopic cholecystectomy, choledocholithiasis, metal clip
別刷請求先
小浜 和貴 〒530-0026 大阪市北区神山町13-3 北野病院外科
受理年月日
1999年11月30日
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