症例報告
早期発見しえた胆嚢原発腺内分泌細胞癌の1例
石井 龍宏, 上平 裕樹, 渡辺 良平, 大森 克介, 宮田 信熈, 園部 宏*, 大朏 祐治*
松山市民病院外科, 高知医科大学第2病理*
症例は70歳の女性で,頸部胆嚢管に径9×8mmのmassを認め手術施行.病理組織診断は腺内分泌細胞癌であり,表層部に腺癌,連続して深部に内分泌細胞癌が存在する形態をとっていた.免疫染色では腺癌から内分泌細胞癌への境界部で移行像が見られ,電子顕微鏡所見でも移行部腺癌細胞内に内分泌顆粒の存在を証明した.顆粒は径0.3~0.4μm,円形―桿状で限界膜を持ち,基底部付近に分布.同部にexocytosisの所見は認めなかったが,腺細胞と内分泌細胞の構造を合わせ持つため,内分泌細胞癌への分化移行像と思われた.腺内分泌細胞癌の発生様式はいまだ不明であるが,本例の結果から通常の腺癌深部に腫瘍性内分泌細胞のクローンが形成されるとの説が裏付けられた.本症例では早期発見しえたが,内分泌細胞癌の周囲への進展増殖,脈管侵襲が高度であり,リンパ節転移も陽性,術後10か月で多発肝転移が見られ,臨床的悪性度は極めて高いと考えられた.
索引用語
adenoendocrine cell carcinoma, gallbladder, immunohistochemistry
別刷請求先
石井 龍宏 〒790-0067 松山市大手町2-6-5 松山市民病院外科
受理年月日
1999年11月30日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|