真性多血症で大網mycotic aneurysm破裂により多量の腹腔内出血を来した1例

吉田　秀明, 枝澤　寛, 野納　邦昭, 鎌田　剛, 柴田　雅彦^1）, 吉木　敬^1）, 伊藤　哲雄^2）, 加藤　紘之^3）

函館赤十字病院外科, 北海道大学第1病理^1）, 北海道病理組織センター^2）, 北海道大学第2外科^3）

　症例は63歳の女性．2年前から真性多血症のため近医で年2回瀉血を受けている．1998年9月25日，7時頃急に腹痛が出現し近医受診，急性腹症の診断で当科に紹介された．白血球数47,600/mm³，赤血球数600万/mm³，Ht 44.0％，Hb 14.2g/dl，Plt 110万/mm³．CTで大網の部分的肥厚と多量の腹水を認めた．全麻下に開腹したところ，多量の腹腔内出血（推定2,000ml）と右胃大網動脈の一大網枝に沿った血腫を認め，これを出血源と判断し切除した．病理組織診では，結節性多発動脈炎およびSegmental Mediolytic Arteritisとの鑑別が問題となったが，最終的にruptured mycotic aneurysmが妥当と考えられた．

索引用語
ruputure of omental artery aneurysm, intraabdominal haemorrhage, polycytemia vera

別刷請求先
吉田　秀明　〒060-8648　札幌市北区北14条西5　北海道大学医学部第2外科

受理年月日
1999年10月26日

PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です