術前診断が困難であった横隔膜原発良性限局性線維性胸膜中皮腫の1例

近藤　礎, 永野　浩昭, 左近　賢人, 清水　潤三, 南　有紀子, 堂野　恵三, 中森　正二, 梅下　浩司, 若狭　研一^＊, 門田　守人

大阪大学大学院病態制御外科学（第2外科）, 大阪市立大学病院病理部^＊

　症例は47歳の女性で，右横隔膜の挙上を主訴に来院した．術前の画像検索にて，左右肝動脈，右横隔膜下動脈により栄養される肝原発の横隔膜下腫瘍を強く疑い手術を施行した．しかし，術中所見により，肝臓の圧迫と右肺下葉への癒着または浸潤を伴う横隔膜原発の胸腔内腫瘍と診断し，右肺下葉部分切除，横隔膜合併切除を伴う腫瘍摘出術を施行した．腫瘍の大きさは14×10cmで，重さは1,300gであった．術後の組織学的検索では，腫瘍は異型性のない線維芽様細胞が密に配列しており，免疫組織染色の結果，keratin陰性，epithleial membrane marker陰性，S-100陰性，vimentin陽性で，横隔膜原発の良性限局性線維性胸膜中皮腫と診断された．術後経過は良好で，12か月経過した現在，再発の徴候を認めていない．

索引用語
diaphragm, benign tumor, localized fibrous mesothelioma

別刷請求先
門田　守人　〒565-0871　吹田市山田丘2-2，E-2　大阪大学大学院病態制御外科学（第2外科）

受理年月日
1999年11月30日

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