臨床経験
食道・胃重複癌に対する内胸動静脈血管吻合付加有茎空腸(supercharge法)による再建術の経験
金田 邦彦, 石川 羊男, 奥山 直子, 国安 哲矢, 小西 宗治, 中江 史朗, 河村 貴, 寒原 芳浩, 河野 範男, 中谷 正史
兵庫県立成人病センター外科
食道・胃重複癌に対して胃全摘,食道切除後に血管吻合を付加した有茎空腸(supercharge法)を用い胸壁前経路で再建した症例を経験した.症例は58歳の男性,胸部上部食道癌,胃角部の胃癌(いずれも進行癌)の重複癌の診断で胃全摘,胸腹部食道切除,空腸を用い胸壁前経路によるRoux en Y再建を行った.その際,再建臓器の血流を改善する目的で有茎で挙上した空腸の末梢側支配血管と左内胸動静脈の血管吻合を併施した.空腸を皮下経路で挙上後,第2空腸動静脈と胸骨左縁で露出した左内胸動静脈を顕微鏡下に血管吻合した.本術式は,代用食道臓器となる空腸の支配血管に顕微鏡下での血管吻合を付加することにより挙上空腸先端部の血流を改善し,血流障害に起因する縫合不全を防止する意味で有用であると考えられた.
索引用語
esophageal cancer, microsurgery, supercharge
別刷請求先
金田 邦彦 〒673-8558 明石市北王子町13-70 兵庫県立成人病センター外科
受理年月日
1999年11月30日
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