臨床経験
2施設共同手術による生体部分肝移植10例の経験 ―ドナー手術について―
森永 聡一郎, 湯川 寛夫, 赤池 信, 杉政 征夫, 武宮 省治, 新開 真人1), 今田 敏夫2), 高梨 吉則2)
神奈川県立がんセンター外科4科, 神奈川県立こども医療センター外科1), 横浜市立大学医学部第1外科2)
我々はドナーの安全と小児肝移植治療の特殊性を考慮して,2施設共同手術による生体部分肝移植を行っている.1995年1月から1998年12月の間に経験したドナー手術10例の治療成績と安全性,ドナーの精神的な問題を検討した.ドナーの年齢は25歳から46歳で,母親8例,父親2例であった.施行術式は,外側区域切除4例,拡大外側区域切除3例,左葉切除3例で,術中出血量は平均687g,手術時間は平均7時間33分であった.術後合併症は術後8日で改善した肝切離面からの胆汁漏を1例,血清トランスアミナーゼの一過性上昇を1例みたのみで,術後入院期間は平均17.6日であった.グラフトの搬送に平均15.2分を要したが,グラフトの損傷は見られず,移植後早期より良好に機能を開始した.グラフトの搬送はそのviabilityに悪影響を及ぼさないと考えられた.ドナーへのアンケート調査により,精神的問題への十分な配慮の必要性が示された.
索引用語
Living related liver transplantation, cooperative surgery, donor hepatectomy
別刷請求先
森永 聡一郎 〒236-0004 横浜市金沢区福浦3-9 横浜市立大学医学部第1外科
受理年月日
1999年11月30日
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