症例報告
術前診断が可能であった十二指腸平滑筋肉腫の1例
梶本 徹也, 田代 直, 成瀬 勝, 佐々木 寿彦, 小川 龍之介, 秋田 治之*, 井上 好央*, 青木 照明*, 池上 雅博**
社会保険桜ケ丘総合病院外科, 東京慈恵会医科大学外科*, 同 病理**
症例は52歳の男性.下血を認めたため当院を受診した.上部消化管内視鏡検査では,十二指腸下行部の主乳頭対側に潰瘍をともなう粘膜下腫瘍が認められた.腹部CTおよび低緊張性十二指腸造影X線検査において十二指腸下行部に腫瘤が指摘された.超音波内視鏡検査では,この病変は十二指腸筋層から連続しており,血管造影X線検査の所見も総合して十二指腸平滑筋肉腫と診断し,手術を施行した.腫瘍は十二指腸下行部から水平部にかけて管外性に発育しており,腫瘍を含めた十二指腸部分切除術を行った.切除標本上,腫瘍は長径64mmで粘膜面に潰瘍形成がみられ,内部は不均一で壊死による嚢胞性変化が認められた.病理組織検査の結果,平滑筋肉腫と診断された.今回のように十二指腸の粘膜下腫瘍が認められた場合,平滑筋肉腫を念頭においた種々の画像診断を行う必要があり,特に超音波内視鏡検査が有用であると考えられた.
索引用語
duodenal leiomyosarcoma, duodenal submucosal tumor, endoscopic ultrasonography
別刷請求先
梶本 徹也 〒424-0856 清水市桜ケ丘町13-23 桜ヶ丘総合病院外科
受理年月日
1999年12月22日
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