症例報告
陥凹型早期十二指腸癌の1例
中山 善文, 門脇 康二, 永田 直幹, 平野 芳昭*, 伊藤 英明
産業医科大学第1外科, ひらのクリニック*
陥凹型早期十二指腸癌は極めてまれな疾患である.今回,我々は透析患者に陥凹型早期十二指腸癌を合併した1例を経験したので報告する.症例は56歳の男性.昭和52年より慢性腎不全のため透析を導入していた.平成9年胃腺腫をポリペクトミーし,その後,平成10年2月の内視鏡検査で,十二指腸下行脚のVater乳頭対側前壁寄りに6×4mmの軽度の隆起を伴う浅い陥凹性病変を認めた.生検の結果,高分化型腺癌であったため,当科紹介.入院後,内視鏡的粘膜切除(EMR)を試みたが成功せず.クリップによるマーキングを行った後,十二指腸楔状切除術を施行した.病理組織検査の結果,well differentiated adenocarcinomaでm,ly0,v0,n0,切除断端に癌細胞は認められなかった.本症例は,本邦における陥凹型早期十二指腸癌の25例目で,透析患者に発生した最初の報告である.
索引用語
depressed type of early duodenal cancer, hemodialysis, duodenal cancer
別刷請求先
中山 善文 〒807-8555 北九州市八幡西区医生ケ丘1-1 産業医科大学第1外科
受理年月日
1999年12月22日
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