症例報告
膵腺扁平上皮癌の5例
鈴木 慶一, 高橋 伸, 相浦 浩一, 斉藤 淳一, 早津 成夫, 星本 相淳, 北島 政樹, 向井 万起男*
慶應義塾大学医学部外科学教室, 同 病理診断部*
1982年1月から1998年6月までに切除した,5例の膵腺扁平上皮癌について所見,占居部位,病期,術式,術後経過などについて検討した.男女比は4:1で年齢は43歳から78歳まで,平均64歳であった.占居部位は4例が膵体部,1例が膵頭部であり,いずれもts3以上の大きさであった.画像所見ではhypervascularityを1例のみ認め,特異的所見とは考えられなかった.手術は膵体部癌に対しては膵体尾部切除術および膵全摘術,膵頭部癌に対しては膵頭十二指腸切除術を行った.症例はいずれもstage IV以上であった.4例は全て1年以内に死亡し,平均生存期間は137日であった.1例は15か月目に癌死した. 膵腺扁平上皮癌は比較的まれな膵原発の悪性腫瘍であり予後不良とされている.自験例もいずれも進行例で予後不良であり,特異的症状にも乏しいため成績向上を期待するためには,早期発見が肝要であると考えられた.
索引用語
adenosquamous cell carcinoma of the pancreas, carcinoma of the pancreas, hypervascularity
別刷請求先
鈴木 慶一 〒160-8582 東京都新宿区信濃町35 慶應義塾大学医学部一般・消化器外科
受理年月日
1999年12月22日
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