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第33巻 第4号 2000年4月 [目次] [全文 ( PDF 59KB)]
特集

癌転移に関与する新しい食道癌分子標的のクローニング

田中 真二, 佐藤 浩一, 森 正樹, 杉町 圭蔵

九州大学医学部第2外科, 九州大学生体防御医学研究所腫瘍外科

 癌転移には細胞接着の機能低下が重要な因子として関与する.近年,細胞接着の裏打ち分子βカテニンがWntシグナルにより細胞膜下から核内へ移行することが報告されている.我々はヒト食道癌で特異的に発現する新規WntレセプターFzE3を同定し,そのcDNAをクローニングした.FzE3を食道癌培養細胞に導入すると癌抑制遺伝子APC産物とβカテニンの結合が増加し,βカテニンは細胞膜下から核内へ移行した.一方,膜貫通ドメインを欠損させたFzE3ΔCを遺伝子導入するとAPCとβカテニンの結合が阻害され,βカテニンの核内移行が抑制された.我々が同定した新規癌特異的分子FzE3はβカテニン・シグナル伝達系に作用し,さらにその抑制分子は癌転移に対する遺伝子治療の新たな分子標的として応用できる可能性が示された.

索引用語
β-catenin, Frizzled, esophageal carccinoma

日消外会誌 33: 529-532, 2000

別刷請求先
田中 真二 〒812-8582 福岡市馬出3-1-1 九州大学医学部第2外科

受理年月日
1999年12月22日

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