特集
膵癌肝転移能に関与する分子生物学的因子の解析
澤田 鉄二, 寺岡 均, 西原 承浩, 須浪 毅, 八代 正和, 山下 好人, 山田 靖哉, 前田 清, 仲田 文造, 平川 弘聖
大阪市立大学医学部第1外科
膵癌細胞を用い,微小環境における宿主免疫応答に関わる接着分子であるICAM-1発現の意義および転移に関与する因子として注目されているTGF-β1に着目し,肝転移形成能におよぼす影響について分子生物学的解析を行った.ヌードマウス肝転移モデルにおいて高転移能を有するSW1990ではICAM-1発現が低率で,末梢血単核球の癌細胞に対する接着性,細胞障害活性も低かった.TGF-β1処理にて膵癌細胞のICAM-1発現は抑制され,また浸潤能は亢進し,肝転移能もSW1990,CAPAN-2で促進された.TGF-β1などの因子によるICAM-1発現低下は免疫担当細胞よりの回避から転移形成に深く関与し,ICAM-1遺伝子導入や抗TGF-β1抗体による転移抑制への応用の可能性が示唆された.
索引用語
pancreatic cancer, ICAM-1, TGF-β1
別刷請求先
澤田 鉄二 〒545-8585 大阪市阿倍野区旭町1-4-3 大阪市立大学医学部第1外科
受理年月日
1999年12月22日
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