特集
ハムスター膵癌におけるMMP阻害剤の発癌抑制効果
伊木 勝道, 真嶋 敏光, 久保添 忠彦, 岩本 末治, 小沼 英史, 角田 司
川崎医科大学消化器外科教室
ヒト膵管癌の実験系であるハムスター膵発癌系において,その浸潤,進展にマトリックス分解酵素(matrix metalloproteinase,MMP)が重要な役割を果たしているとの我々の結果と今までの他の知見をもとに,MMP阻害剤を用いた膵発癌抑制効果を検討した.方法としてハムスター短期膵発癌モデルにおいて,膵管上皮の過形成が出現する時期より,新たに合成されたMMP阻害剤OPB-3206を混餌投与した.実験開始後96日目に屠殺し膵臓を摘出後,病理組織学的検索および,ゼラチンザイモグラフィーによるMMP抑制効果を検討した.コントロール群に比しOPB-3206投与群での膵癌の発生個数の有意な減少がみられた.またゼラチンザイモグラフィーでOPB投与群におけるMMP-2の活性化抑制作用が確認された.以上より,ハムスター膵癌においてOPB-3206は膵発癌を抑制する可能性が示唆された.
索引用語
matrix metalloproteinase, chemoprevention, pancreatic cancer
別刷請求先
伊木 勝道 〒701-0192 倉敷市松島577 川崎医科大学消化器外科
受理年月日
1999年12月22日
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