症例報告
胆嚢原発悪性神経上皮腫の1例
中島 康晃, 山崎 繁, 阿美 克典, 飯田 道夫, 佐久間 秀夫*
太田西ノ内病院外科, 同 病理*
原発巣切除後に急速な進行をきたした胆嚢原発悪性神経上皮腫の1例を報告する. 症例は84歳の女性.右季肋部痛の精査にて胆嚢腫瘤を指摘され入院となった.胆嚢に70×50×80mm大の造影効果良好な腫瘤を認め,また肝十二指腸間膜部には腫大リンパ節が多数みられ,十二指腸下行脚および膵頭部への浸潤が疑われた.手術は原発巣切除および腫大リンパ節の郭清を行った.病理学的検索により,悪性神経上皮腫と診断された. 術後2か月で黄疸,腹水貯留が出現.精査で肝十二指腸間膜部転移リンパ節の腫大による閉塞性黄疸ならびに肝転移,癌性腹水との診断に至った.肝門部腫瘤に対する放射線治療により腫瘤の縮小を認めたが,肝転移巣および腹膜播種巣の急激な増大により死亡した.
本疾患には積極的な集学的治療による局所,全身治療が必要であると思われた.
索引用語
neuroepithelioma, gallbladder tumor
別刷請求先
中島 康晃 〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学第1外科
受理年月日
2000年1月26日
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