症例報告
術前診断に小腸造影検査が有効であった内ヘルニアの2例
小林 昭彦, 小関 廣明, 増子 毅, 大和田 康夫
茨城県厚生連高萩協同病院外科
術前診断に小腸造影検査が有効であった内ヘルニアを2例経験したので報告する.症例1は44歳の女性.腹痛・嘔吐を訴え,腹部単純X線でイレウスと診断した.保存的治療が奏効せず,33日目に開腹したところ大網裂孔ヘルニアを認め,陥入した空腸は小網と癒着し,絞扼性変化をきたしていた.空腸部分切除とヘルニア孔閉鎖を施行した.症例2は57歳の男性.腹痛を訴え,腹部単純X線でイレウスと診断した.保存的治療が奏効せず,21日目に開腹したところS状結腸間膜内ヘルニアを認め,陥入した回腸は後腹膜と癒着していた.腸管切除は行わず,癒着剥離とヘルニア孔閉鎖を施行した.2症例とも開腹歴はなく,イレウス症状をきたし,小腸造影では狭窄部位で腸管の先細り像を認めたが,血管造影,CTなどの検査では異常を認めなかった.このような症例においては,イレウスの原因として内ヘルニアを念頭に置く必要があると考えられた.
索引用語
intramesosigmoid hernia, transepiploic hernia, ileus
別刷請求先
大和田 康夫 〒318-0021 高萩市安良川267 茨城県厚生連高萩協同病院外科
受理年月日
2000年1月26日
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