腹部超音波検査とX線CT検査による大腸癌肝転移の術前スクリーニングの効率

小棚木　均, 佐藤　恵美, 村越　智, 高橋　智和, 飯田　正毅, 今　博, 斎藤　由理, 伊藤　正直, 小山　研二, 石田　秀明^＊

秋田大学医学部第1外科, 同　第1内科^＊

　効率的な大腸癌肝転移の術前検査の確立を目的に，進行大腸癌症例354例（内，肝転移例63例）を対象にして，CTとUSの感度や正診率，肝転移発見の効率や費用を検討した．肝転移の判定は術後5年の観察で判明したもので行った．肝転移検出のsensitivity, specificity, accuracyは，CTで65％，94％，89％，USで57％，97％，91％と，両者に有意差はなかった．また，CTとUSが共に施行された例では65％，93％，88％と，単独検査に比べて双方を行うことによる診断能の有意な向上はなかった．肝転移例における肝内進展状況の診断能は十分ではなかった．肝転移例1例発見に要した費用は単純CTで6,298点，造影CTで20,169点，USで5,773点と，USが安価だった．大腸癌肝転移の診断能は，CTとUSでほぼ同等であり相補する点も少ないことから双方の検査を行う必要性はなく，cost-benefitの点からUSを選択すべきである．

索引用語
preoperative assessment of liver metastasis from colon cancer, detection rate of liver metastasis in computed tomography and ultrasonography, Efficacy of preoperative evaluation of liver metastasis

別刷請求先
小棚木　均　〒010-8543　秋田市本道1-1-1　秋田大学医学部第1外科

受理年月日
2000年3月22日

PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です