原著
閉塞性大腸癌の検討
長谷川 久美, 杉原 健一, 榎本 雅之, 吉永 圭吾
東京医科歯科大学第2外科
閉塞性大腸癌(閉塞群:46例)の予後不良である原因を検索し,その治療方針を検討した.閉塞群は非閉塞性大腸癌(対照群:872例)に比較し遠隔転移が多く,切除率が低く,術後30日以内の死亡が多く認められた.閉塞群の切除例(閉塞・切除群36例)の臨床病理学的因子および予後を,対照群の中から性別,年齢,部位,深達度,環周率をmatchingさせて抽出した非閉塞・切除群(108例)と比較検討した.閉塞・切除群の腫瘍径は非閉塞・切除群より有意に小さかったが,その他の臨床病理的因子に有意差はなく,両群の生存率にも有意差を認めなかった.また,閉塞・治癒切除群においても,非閉塞・治癒切除群に比較し,遜色ない生存率を得られた. 閉塞性大腸癌においても,切除可能例にたいしては,積極的な手術が必要と思われた.
索引用語
obstructive colorectal cancer, clinicopathological feature, nested control study
別刷請求先
長谷川 久美 〒113-0034 東京都文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学第2外科
受理年月日
2000年3月22日
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