症例報告
AFPおよびCEA産生性胆襄癌の1切除例
市原 利晃, 斉藤 孝, 鈴木 克彦
本荘第一病院外科
症例は70歳の男性.上腹部痛を主訴に近医受診,腹部超音波検査にて胆嚢癌が疑われ,精査加療目的で当院入院した.入院時検査でAFP 336ng/ml,CEA 32ng/mlと上昇していた.入院時の腹部超音波検査,腹部CT検査,腹部MRI検査にて胆嚢壁に不整な肥厚を認めた.血管造影では胆嚢腫瘍に一致するドーナツ状の造影を認めた.以上より胆嚢癌の診断で肝切除(S4a,S5,S6とS8の部分切除),胆管空腸吻合術を施行した.切除標本では胆嚢に結節型7×5×5cm大の腫瘍を認め,腫瘍は漿膜面を越え,肝床,胆管側へ浸潤していた.病理組織所見から中分化型の胆嚢癌と診断された.術後42日目にはAFP 4ng/ml,CEA 1.4ng/mlと減少していた.腫瘍マーカーの発現は局在が違っていた.AFPおよびCEA産生性胆嚢癌の報告はまれであり,検索した範囲で本邦では20例をみるにすぎない.そのほとんどが肝転移を伴っていた.
索引用語
alpha-fetoprotein, carcinoembryonic antigen, gallbladder cancer
別刷請求先
市原 利晃 〒012-0827 湯沢市表町3-3-15 雄勝中央病院外科
受理年月日
2000年2月23日
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