症例報告
下顎部巨大デスモイド腫瘍を合併したガードナー症候群の1例
西岡 将規, 石川 正志, 花城 徳一, 菊辻 徹, 柏木 豊, 三木 久嗣
国立高知病院外科
開口障害の原因となった左下顎部の巨大デスモイド腫瘤を摘出し,術後にsulindacを経口投与して経過良好なガードナー症候群の 1 例を経験したので報告する. 症例は14歳の女性.左下顎部の腫瘤により開口障害が出現し来院.MRI検査では左下顎部にT1で低信号,T2でやや高信号の巨大な腫瘤を認め,咽頭および舌根部は圧排されていた.大腸内視鏡検査ではポリープ5個のみ認めた.腫瘤摘出術を施行したが咽頭深部で腫瘤が残存したため術後sulindacを投与した.開口障害は改善し,経過は良好である. ガードナー症候群では大腸癌,十二指腸腫瘍,デスモイド腫瘍が大きな死因をしめるが,デスモイド腫瘍は術後の腹壁,腹腔内に生じることが多く,手術既往のない下顎部発症はまれである.sulindacによる大腸腺腫の減少,デスモイド腫瘍の縮小が報告されており,腫瘤摘出術後のsulindac投与により予後,QOLが向上する可能性があると思われた.
索引用語
Gardner's syndrome, desmoid tumor, sulindac
別刷請求先
西岡 将規 〒780-8507 高知市朝倉西町1-2-25 国立高知病院外科
受理年月日
2000年2月23日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|